8月の北海道は、一年の中でも最も高温多湿な時期。お風呂や台所など水回りは、少し湿気がたまるだけでカビが生えてしまうことも…。

今月のお天気プラスでは、高温多湿時のカビ対策について特集します。

 

カビの繁殖やニオイは、その不快感やストレスなどにより精神面に影響を及ぼすだけでなく、健康被害や体調不良をもたらす原因にもなる厄介なものです。カビをはじめとする微生物がもたらす健康被害には、アレルギー喘息や皮膚炎水虫などがあります。カビが繁殖している住まいで生活することで、何らかのきっかけで免疫力が低下したときに肺など体内にカビが入り、「真菌症(しんきんしょう)」など重い症状になってしまう場合も。真菌症は健康な人であればほとんど感染しないといわれていますが、著しく抵抗力が低下している時には発症するおそれがあり、症状は発熱、咳、痰、呼吸困難、全身倦怠感などが特徴で、風邪や肺炎にも似ているということです。

 

▶カビが活性化する条件は?

カビは温度湿度酸素栄養(カビのエサとなる有機物)されあれば、どんな場所でも発生し、増殖するといわれています。このうち、人間が室内環境でコントロールすることがある程度可能なのは、「温度」と「湿度」です。

では、温度と湿度がカビの増殖との関係をチェックしてみましょう!

 

[温度とカビの増殖の関係]

温度とカビの増殖の関係カビの成長に適した温度は20℃~30℃で、高温すぎる37℃以上になるとほとんど生えず、成長できなくなる傾向があります。また、20℃を下回ると徐々に生えにくくなる傾向がありますが、菌の種類によっては5℃以下でも成長するものがあるということです。

 

 

[湿度とカビの増殖の関係]

湿度とカビの増殖の関係カビは空気中の水分と付着する建材などの水分の両方を利用して増殖をします。カビが最も活性化する湿度環境は75%から100%で良く生えるようになり、増殖スピードも速まる傾向があります。一方、湿度が65%を下回るようになるとカビは生えにくくなり、増殖スピードも遅くなる傾向があります。

 

★8月の道内はカビにとっての好条件!

道内主要3都市月別平均気温と平均湿度(平年値)月別の道内主要3都市の平均気温と平均湿度の平年値の表を見ると、札幌、旭川、函館ともに8月は平均気温が20℃以上で、平均湿度が75%以上気象条件としては、8月の道内がカビの増殖に最も適した外気環境であることがわかります。この高温多湿な空気が室内に取り込まれていることにより、カビの発生のポテンシャルも高い時期といえます。8月はカビ対策をしっかりしないといけない時期です。

 

▶カビ対策の傾向と対策

①浴室

お風呂は、湿度・温度ともに高く、また、石鹸や人の垢などカビの栄養となる有機物も非常に多いため、カビが生えて育つためのすべての条件が揃った場所。

≪対策≫
☑日常の掃除をしっかり
☑入浴後に壁や床にシャワーで水をかけて飛び散った汚れを流す
☑窓がある場合は入浴後に最低3時間は窓を開ける
☑窓がない場合は入浴後半日程度は換気扇を回す
☑浴室になるべく物を置かない(シャンプーのボトルの底などもカビのすみかになりやすいので、入浴時に浴室に持ち込むようなスタイルがベスト)

 

②台所

キッチンは常に水気があり、調理や洗い物の際にも水蒸気や熱が発生します。また、食品の残りカスなどカビやダニのエサになるものも豊富でカビ発生の要注意エリア。

≪対策≫
☑出来るだけ換気扇を回す(調理中以外も)
☑掃除をして出来るだけ水気を拭き取る(一日の終わりに”水切りチェック”)
☑シンク下の収納は除湿と通気(締め切らないで除湿剤を置く)
☑使用後の調理器具は完全に乾いてから収納を

 

③洗面・脱衣所

洗濯機置き場があったり、浴室の隣にあることが多く、水蒸気がたまりやすいカビ発生危険ゾーンです。濡れたタオルや湿った洗濯物や汗などで汚れた衣類などもあるので要注意な場所。

≪対策≫
☑飛び散った水や汚れはしっかり拭き取る
☑バスマットは置きっぱなしにしない(バスマットとその下の床はカビに加えて、水虫の原因となる白癬菌の住みかになりやすい)
☑洗濯かごに長時間洗濯物を入れっぱなしにしない(特にキャンバス生地や籐製品の洗濯かごにはカビが大量発生するおそれも)

 

水回り

④押入れ・クローゼット

締め切られた状態で湿気がたまりやすい押入れやクローゼットは、結露も発生しやすくカビ発生の危険度の高いエリア。しまっている衣類や布団なども湿気を吸いやすく、カビやダニが住み着きやすいというのも特徴です。

≪対策≫
☑詰め込みすぎない(通気性を保てる8分目以内を目安にする)
☑下段には湿気に強い綿や麻製品を収納(水分は下にたまりやすい傾向がある)
☑下段は直置きせず、すのこを置いて通気を確保
☑大掃除や衣替えに合わせて、収納したものを出来るだけ出して、干せるものは干す!

 

すべての場所に共通するカビ対策のポイントは、「清潔を保つこと」「換気をすること」です。特に、室内の換気をしっかりすることで、湿気がこもるのを防ぎ、通気性をよくすることがカビ対策の第一歩ということになりそうです。

 


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