気温が下がって、めっきり秋らしくなってきました。実りの秋は美味しいものがたくさんあり、『食欲の秋』を実感する機会も多いですが、この食欲には気温の低下が大きく関係しています。

 

🌡気温低下で基礎代謝量UP

気温が下がる秋から冬にかけては「基礎代謝量」がアップして、食欲が旺盛になる傾向があります。

★「基礎代謝量」とは、目覚めている状態で生命を維持するために必要な最小限のエネルギー消費量のこと。

基礎代謝量は年齢や性別、体格などによって異なりますが、季節によっても増減します。

夏は気温が高く、人間の皮膚温度も高くなるので、体の中では出来るだけ熱の発生を抑える必要があり、基礎代謝量を低く抑えようと働きます。一方で、冬は気温が低く、体温を保つためにも、体の中でも産熱しようと働くため、基礎代謝量は増加します。つまり、基礎代謝量は冬に高く、夏に低くなる傾向があり、夏と冬で10%程度の違いがあるといわれています。

秋は、冬に向かって気温が下がっていく時期で、体温の維持に多くのエネルギーが必要になり基礎代謝量がUPしていくので、食欲もそれに合わせて増す効果があるのです。

これが『食欲の秋』のヒミツです。

 


 

季節で味覚にも変化が!?

秋~冬にかけての気温が下がっていく時期(降温期)には、人間の体は「旨味」や「甘味」を求める傾向が強まり、夏のように「苦み」や「酸味」「辛味」などを求める傾向が弱まるという変化が現れます。

また、夏に比べて、濃い味・洋風の料理がおいしく感じられたりもするのです。季節変動があるといわれている味覚については下の表のとおりです。

味覚の変化

 


寒くなる時期に売れるものは?

 

降温商品気温が下がっていく時期を降温期といい、その時期に売れ行きがアップする商品を降温商品といいます。降温商品の例としては、「おでん」が代表的。おでんは、最高気温が20℃くらいの日では9月~10月に売り上げがアップしますが、同じ20℃くらいの5月~6月にかけての気温が上がっていく時期には売り上げが落ちます。

コンビニなどのサラダでも、夏場はさっぱりとしたものが売れ行きですが、秋から冬にかけては、ポテトサラダなどボリューム感のあるものの売れ行きがアップします。

 

 

このように食に対する購買意欲との関係を見ると、気温の変化を基本とした衝動買いが8割を占めるともいわれており、何を食べるかを決める時には気温などの気象変化の影響が非常に大きいのです。

知らず知らずに気象の影響が食欲にもつながっているのです。

8割は気温の変化などによる衝動買い

 


 

一雨ごとに秋が深まるこの時期は、基礎代謝量がアップして、美味しいものも盛り沢山。

食べても食べてもお腹がすいてしまうということもあると思いますが、このような状態を「秋渇き(あきがわき)」といい、秋の季語にもなっています。

基礎代謝量がアップしているこの時期にこそ、適度に運動もしながら、美味しいものを食べて、秋渇きを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

※参考文献:健康気象アドバイザーテキストなど