秋に旬を迎える魚の代表格・サケは、産卵の時期になると生まれた川に戻ってきます。これを「母川回帰(ぼせんかいき)」と呼びます。この習性は、川で生活する稚魚の時に、その川の匂いを覚えていることによるといわれています。

春に海へと旅に出るサケの稚魚は、オホーツク海からベーリング海、アラスカ湾までを周遊し、3~5年目に成魚となって、産卵のために戻ってきます。

 

 

❚海水温が漁獲量に変化

サケは冷たい海を好むため、北海道近海の海水温が漁獲量に影響します。海水温が高いと漁獲量は減る傾向、海水温が18℃くらいに下がると、漁獲量は増える傾向にあります。今年のサケ漁もここ数年と同様に海水温が高めで低調なスタートとなりました。9月上旬の道内の漁獲量は太平洋側東部で少なかった影響が大きく、道内全体では前年より3割少ない状況でした。

海面水温20170909海面水温20170919

海水温データ:上段は9/9で太平洋側東部からオホーツク海近海は平年より高め、下段は9/19でオホーツク海側は平年より高い状態が続いているが、太平洋側東部はほぼ平年並みの海域も出てきました。※海水温データは気象庁WEBサイトより

 

 

 

❚台風🌀や大雨☔で遡上しやすく

サケの漁獲量に大きな影響がある海水温が下がるには、実は🌀台風が適度に北海道近海を通過していくことが必要です。台風の強い風には、海の深いところにある低水温の層を引き上げ、海水をかき混ぜてくれる効果があるのです。

サケの遡上には、☔雨も影響します。まとまった量の☔が降ると、海に流れ込む川の水量が増えます。生まれ故郷の川の匂いを探しているサケが、沿岸に近づきやすくなることもあるそうです。サケの長い旅には台風や大雨といった気象現象も一役かっているのです。

 

今年(2017年)は台風18号の暴風と高波の影響で、網などに大きな被害が出たため、台風によって、サケの漁獲量も減少してしまいました。台風は漁業施設に被害が出るような発達しすぎたものや接近しすぎるものの場合は、負の影響が大きくなってしまいます。