天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉をよく耳にすると思います。初夏から晩秋にかけて、たびたび登場する言葉で、強い雨や落雷、突風、ひょうなどの激しい気象現象と関係があります。
★上下の温度差が決め手
大気の安定度は空気の上下方向の温度差が決め手となります。空気は冷たいほど重く、暖かいほど軽いという性質があるためです。
地上付近(下の空気)が暖かく、上空(上の空気)が冷たい場合は、上空の重い空気が下降し、地上の軽い空気が上昇します。「大気の状態が不安定」とは、このような対流が生じやすい場合をいいます。上昇気流が強まるところでは、雷雨などを引き起こす積乱雲が発達することがあります。
一方で、下の空気が冷たく、上の空気が暖かい場合は対流が起こらず、大気は安定します。高度10~50キロメートルの成層圏がこの状態で、ジェット機が高度を上げた後に静かに飛行できるのは、安定した成層圏を飛んでいるからです。
人間でイメージすると、頭が大きくて重いと転びやすいので不安定ですが、下半身がどっしりと重いと転びにくい安定型。大気の状態も同じで、上に冷たい重い空気があると大気が上下方向に対流が起こって不安定になるのです。
★煙突で安定度判定!?
身近なところにも大気の状態を見極めるヒントはあります。上昇気流が強く不安定な場合、煙突から出る煙がいつも以上に上へ上へと立ち上ります。こういう時は、午後に急に雷雨になることもあり、煙突から出る煙でも大気の不安定を確認することができるのです。