天気予報の中で、「台風は温低化しました。」と耳にすることがよくあると思います。

今回の2018年の台風25号も北海道に近づくにつれて温帯低気圧に変わりながら(温低化しながら)進んでくる予想となっています。

低気圧に変わるから、安心ではなく、この言葉は「油断禁物」のサインでもあるのです。

 

❚台風と温帯低気圧は育ちが違う

台風は赤道付近の熱帯の海で生まれ、暖かく湿った空気だけでできている熱帯低気圧です。その熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が17.4m/s以上に発達したものを台風といいます。

 

一方、温帯低気圧は、日本を含めた中緯度付近で生まれ、暖かい空気冷たい空気が衝突する時のエネルギーで発達します。

台風が北日本で温帯低気圧になることが多いのは、熱帯の暖かい空気のかたまりである台風が北上し、北の冷たい空気と出会うからです。

ところが、この冷たい空気と衝突したエネルギーで、温帯低気圧がさらに発達することもありますし、風の強いエリアが拡大することが多いので油断禁物なのです。

台風と低気圧の構造の違いと風の強いエリアイメージ

❚温低化で強風・暴風エリア拡大

台風の暴風は中心付近のみということが多いですが、台風が温帯低気圧に変わると、冷たい空気とぶつかり合う場所全体で空気の移動が激しくなり、風の強まるエリアが広がることになります。

スポーツに例えると、台風で暴風が吹き荒れるエリアはフットサルのコートだとすると、温帯低気圧になった時の風の強いエリアはサッカーのコートぐらいに広がるといったイメージです。

 

 

❚2004年18号は温低化で記録的暴風

2004年9月の台風18号は温帯低気圧になった後に、道内の広い範囲で記録的な暴風となり、札幌で瞬間最大風速50.2㍍を観測。倒木などにより道内で死者9名、家屋の倒壊や大規模停電などの大きな被害が発生しました。

2004年🌀18号の暴風被害

温帯低気圧になっても元は台風。油断は禁物です。