西日本から東海にかけては、歴史的な豪雨災害が発生しました。
今回の大雨は、停滞する梅雨前線に向かって非常に暖かく湿った空気が流れこみ続けたことで、発達した積乱雲が同じような場所にかかり続ける「線状降水帯」が何度も広い範囲で発生しました。
特別警報は一番早く発表になった九州北部でも7/5金曜日の夕方でしたが、特別警報が発表になった時には既に非常に危険な状態に陥っていることが多いため、特別警報が出る前にどのように備えて行動するかが大切です。
気象災害は、地震や火山災害とは違い、「備える時間」が必ずあります。危険な時間帯に危険な場所にいなければ、命を失うことはありません。
大雨災害が発生しそうな時に気象庁から発表される防災情報を確認してみましょう。
特に注目は、大雨警報や洪水警報が発表時に特に土砂災害の危険度が高まった地町村に発表される『土砂災害警戒情報』
この情報が出た時には、斜面の近くや沢の近くにお住まいの方は、早めに避難をすることを視野に情報収集をしなければならないレベルなのです。土砂災害警戒情報が発表後に、さらに雨が続くと、さらに危険度が高まっていきます。土砂災害の危険度については、「危険度分布」の情報をこまめにチェックすることが必要です。自分の住む地域が薄紫色などのメッシュになった場合は迷わずに避難をしましょう!
避難をする際、避難所に移動するだけが避難ではありません!
早めに避難をすることはもちろん命を守る上大切ですが、避難のタイミングが遅れてすでに家の周りが浸水がひどい状況になっている場合などは避難移動中に命を失うケースもあります。
❚避難は3つのタイプがある
特に今回の大雨災害で家で逃げ遅れた方がとった行動「2.垂直避難」は、家の中でも2階以上や屋根の上などより高い所に逃げるもので、まさかの時に命を守る手段となります。もしその前までに間に合えば、万一に備えて、1階にある貴重品や電子機器類など大切なものは2階以上に上げておくことをおススメします。
「3.水平避難」は、指定された避難所に夜暗くなる前など避難が出来る段階で移動する避難で、時間的に余裕のある状況ではこれが一番有効です。もしも、キケンが差し迫っていて、家の近くに斜面などがある方は、近所で自分の家よりも安全なお家に避難させてもらうことなども大切です。過去の災害では、近所の知人宅への避難により身を守ったという方もいます。
❚近所の川の水位を確認しよう
大雨になった際は、自分の住む地域に流れる川の洪水危険度を自分でも確認する習慣を付けましょう!
気象庁ページの「洪水の危険度分布」では、全国約3000河川を1キロ四方の細かさで川のどのあたりで洪水の危険度が高まっているかを確認することができます。
また、川には水位計が設置されているところも多く、水位の上昇をこまめに確認することをおススメします。
このページで自分の見たい川の水位観測地点を選択すると、
断面で堤防までどれくらいのまだ余裕があるかないかを確認できたり、上昇の推移などをひと目で確認でき、キケンをいち早く察知することができます。
自治体から避難の情報が出ていないから、まだ特別警報が出ていないからと躊躇せず、自分で情報をこまめに収集して、自分の住む場所の危険度を自分で認識して、もしかしたらと思う感じた時は、すぐに避難行動をとる勇気と決断が命を守る上でもっとも大切です。
まずは日ごろから、自分の周りの危険箇所を確認したり、防災気象情報を使い慣れておくことが、これから多発するかもしれない気象災害から身を守るために必要なことです!
もちろん、不明な点は我々気象予報士に聞いてもらいたいと思うのですが、危険な状況が差し迫った時は、プロの気象予報士は仕事が忙しくなってしまう場合も多く、連絡がとれなくなる可能性があります。
気象予報士への問い合わせも、出来るだけキケンな状況になる前によろしくお願いします。